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誰もが経験するように、私も途方に暮れ病院廻りをし、疲れ果てて不安でいっぱいのときを長い間、過ごしたような気がします。
長女は三歳のとき、四歳入学でしたが特別のはからいで入学できました。当時は個々の親がしのぎを削って、一語でも一句でも多くを我が子に教えなくてはと思ったものです。
聴覚障害の子供を育てて行くには、厳しく育てたほうがよいとか、そうではない方がよいとか、いろいろと考えることがあります。やはり幼いころより膝に抱いて、より補聴器の近くで話しかけることの大切さは、言うまでもありません。
私には二人の聴覚障害の子供がいます。学校にいては、親同士がより連帯をもってそれぞれの子供に語りかけ、自分の子供も他人の子供も別け隔てなく、育んで行くのがよいと思います。
また、できれば零歳のうちに補聴器を付け、両耳補聴でできる限り早く、その子の聴覚の程度を見つけ、補聴器を最大限に活用することが子供にとって最も良策と思います。
ちなみに下の男の子はVOLを六から七にして聞きいてます。今はもう二十一歳になり、姉の子のおじさんとなりましたが、生まれて六ヵ月で補聴器を付け、寝る間も惜しんで(昼間の時は補聴器をはずさない。夜も眠ってからはずす等)音を聞かせてきました。
ある日、幼いころ覚えた童話を、娘の子供に、聞かせていました。「天使のパンツ」「トロップスのうた」「恐竜のうた」など。幼いときにしっかりと覚えた歌は、たとえ音程がハチャメチャでも、リズムと言葉の正確さは驚くばかりでした。
聴覚障害児にも、音楽は大切でこそあれ欠くべからずものと改めて感じました。悲しいか

 

 

 

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